ディクテーションの最大の価値は、自分の弱点を明確にできることです。
英語講師として多くの生徒さんのディクテーションを見てきましたが、書けない理由は大きく3つに分けられます。
この記事では、ディクテーションで見つかる3つの弱点と、それぞれの克服法を解説します。
ディクテーションで書けない時の工夫
大抵の生徒さんを見ていて、聞いても書く速度が追いつかないという状況がありました。
最初の数文字だけ書く
その場合は、3〜4回程度繰り返すことを前提に、最初の数文字だけ書くとか、自分だけにわかりやすいサインで書くとか、そんな工夫をしていいかもしれません。
通訳のメモ取りから学ぶ
通訳の訓練に興味がある方は、ご存知かもしれませんが、通訳も会話を全てそのままメモしていては全く間に合いませんので、自分にだけわかるサインや矢印など多用して理解できるように工夫しています。
基本的なディクテーションでは不要
ただし、基本的な課題を見つけるためのディクテーションは、通常とても短い文章で試すものですので、自分にだけわかるサインまで工夫する必要性も薄いかもしれません。
2回目以降に集中すべきポイント
2回目に聞いた時には、わからなかった箇所の音源が流れてきた時に、そこに集中できるようにメモを大体整えておくことが大事です。
多くの生徒さんは、どうしても頭から順番に埋めていかなくてはと思って、スペルの方に気が取られて何度も同じ箇所を薄い意識で聞いてしまいがちです。
弱点①:音声変化が聞き取れない
なぜ聞き取れないのか
音声変化が聞き取れなければ、わからないのは当然です。
知っている単語なのに書けない場合、ほとんどが音声変化が原因です。
主な音声変化
- 連結:音がつながる
- 脱落:音が消える
- 弱形:弱く発音される
- ラ行化:tやdがラ行に聞こえる
克服法:オーバーラッピング→シャドーイング
ディクテーションで弱点を見つけたら、これをオーバーラッピングしてみましょう。
オーバーラッピングはスタートを合わせるのがポイントです。
全く同じタイミングで全く同じように言えるのか?
連結の入った一文であれば、連結の音声変化を無視して、連結せずに1つ1つバラバラに発音することで、時間は長くなってしまいます。
またこの場合は、オーバーラッピングの後、シャドーイングで連結部分のある箇所を重点的に意識しながらやるといいでしょう。
弱点②:語彙不足
知らない単語は書けない
前回の記事でも書いたように、知らない単語も書くことはできません。
それは、覚えておくべき基本的な単語であるかもしれないし、専門用語やビジネス用語かもしれません。
教材選びのポイント
自分で教材を用意するのであれば、知らない単語などあまり入っていない教材がいいでしょう。
8割以上理解できる内容を選ぶことで、音声変化の課題に集中できます。
克服法:スモールゴールで習慣化
語彙不足が発覚した場合は、その段階に合わせた必要語彙にスモールゴールを設定してコツコツ習慣化して暗記していきましょう。
以前の記事でもお伝えしましたが、曖昧な知識より100%の知識です。
今必要な単語を確実に覚えることが重要です。
弱点③:英文構造の理解が追いついていない
文法が複雑で理解できない
文法レベルと学習段階が合わないテキストを利用した場合。単語は全部聞き取れたのに、文全体の意味が分からない場合は、英文構造の理解が追いついていません。
- 関係詞
- 仮定法
- 複雑な時制
- 倒置構文
こうした文法要素が理解できていないと、書き取れても意味が取れません。
克服法:文法学習と瞬間英作文
基本的な文法パターンを、瞬間英作文で体に染み込ませることで、聞いた瞬間に構造が理解できるようになります。
弱点の分析が最も重要
ディクテーションで書けなかった時、なぜ書けなかったのかを分析することが最も重要です。
分析の流れ
- ディクテーションで書き取れない箇所を発見
- スクリプトと照合
- 原因を特定
- 音声変化が聞き取れなかった?
- 単語を知らなかった?
- 文法構造が理解できなかった?
- 弱点に応じた対策
- 音声変化 → オーバーラッピング、シャドーイング
- 語彙不足 → 単語学習
- 文法 → 文法学習、瞬間英作文
よくある質問:複数の弱点がある場合は?
多くの場合、複数の弱点が同時に存在します。
優先順位をつける
- まず音声変化:これができないと何も聞き取れない
- 次に語彙:基本単語から確実に
- 最後に文法:構造理解は並行して
同時に取り組む
ただし、すべてを同時に少しずつ取り組むのも効果的です。
- 朝:単語学習
- 昼:オーバーラッピング、シャドーイング
- 夜:ディクテーション
まとめ
ディクテーションで見つかる3つの弱点:
弱点①:音声変化が聞き取れない
- 知ってる単語なのに書けない
- 克服法:オーバーラッピング→シャドーイング
- 連結部分を重点的に練習
弱点②:語彙不足
- 知らない単語は書けない
- 克服法:スモールゴールで習慣化
- 100%の知識を目指す
弱点③:英文構造の理解が追いついていない
- 単語は聞き取れても意味が分からない
- 克服法:文法学習、瞬間英作文
重要なポイント:
- 2回目以降は弱点箇所に集中
- スペルより音が聞こえているかが重要
- 必ず原因を分析する
- 弱点に応じた対策を実行
ディクテーションは、ただ書き取るだけでなく、弱点を発見し、対策を立てることで、初めて効果を発揮します。
オーバーラッピング、シャドーイング、単語学習、文法学習を組み合わせて、総合的にリスニング力を向上させましょう。
次の記事では、「ディクテーションとシャドーイングの違いと使い分け」について解説します。

