シャドーイングとオーバーラッピングの違いとは?使い分けと効果的な練習法

生徒の前でシャドーイングとオーバーラッピングについて英語の授業をする女性の先生と英語テキストのイラスト シャドーイング

英語学習において、シャドーイングという言葉は徐々に知られるようになってきました。しかし、「オーバーラッピング」という練習法については、まだ知らない方が多いのが現状です。

英語講師として指導してきた経験の中で、シャドーイングに二種類あることを知らない方は多かったですが、オーバーラッピングについては、それ自体を知らない方がほとんどでした。

この記事では、シャドーイングとオーバーラッピングの違いと、効果的な使い分けについて解説します。

シャドーイングとオーバーラッピングの基本的な違い

まず、この2つの練習法の違いを明確にしましょう。

シャドーイング

英語の音声を聞きながら、少し遅れて発音する練習です。

影(shadow)のように音声についていくことから、この名前がつけられました。

オーバーラッピング

その名の通り、英語の音声と同時に発音する練習です。

音声とぴったり重ねる(overlap)ように発音します。

この「遅れて」と「同時に」という違いが、2つの練習法の大きな特徴です。

シャドーイングの復習:プロソディからコンテンツへ

オーバーラッピングの説明に入る前に、シャドーイングの流れを簡単に復習しましょう。

プロソディ・シャドーイング

音を聞きながら、自分が聴いた音をそのまま再現することが目的です。

内容の理解よりも、音声変化(連結、弱形、脱落など)を正確に再現することに集中します。

口の方を意識しないでも、音声変化がきちんと言えるようになることを目指します。

コンテンツ・シャドーイング

プロソディ・シャドーイングができるようになったら、次はコンテンツ・シャドーイングに進みます。

音を聞いて、内容を理解しながら、音声もきちんと発音する、という練習です。

流れてきた音から理解するということは、日本語と英語の文法構造の違いから、日本語的に理解することはできません。英語のまま理解する、その処理速度を早くする、ここがポイントになるのです。

(この話については、今後の記事で詳しく解説します)

オーバーラッピングの目的と効果

では、オーバーラッピングはどのような目的で行うのでしょうか。

シャドーイングの手助けとなる練習法

オーバーラッピングは、シャドーイングがうまくいかない時に手助けとなる、より細かい方法です。

前回の記事で、「自分の声を録音する」ことの重要性をお伝えしましたが、オーバーラッピングも同じように、自分が言えているかを認識し、正確に言えるようになる手助けになる訓練です。

音声変化が正確にできているか確認できる

オーバーラッピングでは、音声と同時に発音するため、自分の発音と音源とのズレがはっきりわかります。

例えば、連結と脱落が混じっている文章をオーバーラッピングしてみてください。

全く同じように言うので、連結してなくても、脱落してなくても、自分の方が遅く終わります。

音声変化というものは、言いやすいように変化させたものなので、例えば連結してくっつけちゃったほうが言いやすいのです。それなのに、文字通り読めば、長くなってしまうのです。

よくある間違い:帳尻合わせの早口

たまに、音声変化を無視しているにも関わらず、最後の帳尻だけ時間を合わせようと早口になるという裏技を使う生徒さんがいました。

もちろん、「今のはダメです」とお互いに笑っていました。

音声変化をせずに早口で言っても、正しい発音にはならないのです。

オーバーラッピングの効果的なやり方

オーバーラッピングを効果的に行うためのポイントをお伝えします。

①とても短い文章を選ぶ

オーバーラッピングは、短い文章で行うのが良いです。

長い文章だと、途中でズレてきた時に修正が難しくなります。1文程度の短いセクションで練習しましょう。

②スタートを合わせることに集中

この訓練は、スタートが揃ってないといけません。

陸上競技の短距離走のような緊張があります。「行きますよー、はい!」という感じで、生徒さんも出だしを間に合わせるために真剣な顔つきでやっていました。

③音声変化に意識を向ける

オーバーラッピングをすると、自分がどの音声変化をできていないかが明確になります。

– 連結:音がつながっていない

– 脱落:発音すべきでない音を発音している

– 弱形:強く発音しすぎている

これらの弱点がわかれば、集中的に練習することができます。

④苦手なら0.8倍速でもOK

オーバーラッピングが苦手であれば、0.8倍速や0.7倍速にしてもいいでしょう。

特殊な訓練なので、徐々に慣れで、できるようになっていけばいいのです。

シャドーイングとの相乗効果

オーバーラッピングで自分の弱点がわかり、それを意識してシャドーイングをすると、相乗効果で伸びます。

練習の流れ

1. オーバーラッピングで弱点を発見

– 連結ができていない

– 脱落ができていない

– など

1. 弱点を意識してプロソディ・シャドーイング

– 音声変化を正確に再現する練習

1. コンテンツ・シャドーイング

– 意味を理解しながら発音

この流れで練習することで、効率的にリスニング力と発音力を向上させることができます。

詰めすぎないことも大切

ただし、苦手な人はあまり詰めすぎずにやることも大切です。

シャドーイングもオーバーラッピングも、生きている中でほとんど使ったことのない特殊な訓練です。最初からうまくできなくて当然なのです。

焦らず、少しずつできるようになっていけば大丈夫です。

まとめ

シャドーイングとオーバーラッピングの違いと使い分け:

– シャドーイング:音声より少し遅れて発音(メインの練習法)

– オーバーラッピング:音声と同時に発音(弱点発見のための補助的な練習法)

オーバーラッピングの効果:

– 自分の発音と音源とのズレが明確にわかる

– 音声変化ができているか確認できる

– 短い文章で集中的に練習できる

オーバーラッピングで弱点を見つけ、シャドーイングで克服する。この2つを組み合わせることで、効率的にリスニング力を向上させることができます。

次の記事では、シャドーイング学習におすすめのアプリについて解説します。

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