シャドーイングは効果的な学習法ですが、正しいやり方を知らないと、せっかくの努力が無駄になってしまうこともあります。
英語講師として多くの生徒さんを見てきた中で、初心者の方が陥りやすい失敗パターンがいくつかあることに気づきました。この記事では、そうした失敗例と、その対処法について解説します。
事前に失敗パターンを知っておくことで、効率的にシャドーイング学習を進めることができます。
失敗①:理解していない教材でやってしまう
これは最もよくある失敗です。
シャドーイングは「音を真似る」学習法なので、意味がわからなくても大丈夫だと思われがちです。しかし、それは大きな間違いです。
なぜ理解している教材が必要なのか
プロソディ・シャドーイングの段階では音の再現に集中しますが、最終的にはコンテンツ・シャドーイングに移行し、意味を理解しながらシャドーイングを行う必要があります。
意味がわからないまま音だけを真似ても、最終的な目標である「リスニングしながらの意味理解」には繋がりません。
シャドーイングは非常に効果的ですが、語彙や文法の土台が不足していると効果が出にくいのも事実です。
シャドーイングと並行して語彙・文法学習が必要な理由はこちらで解説しています。
対処法
まずはテキストを見ながら内容をしっかり理解し、わからない単語や表現があれば調べておきましょう。その後でシャドーイングに取り組むことで、効果的な学習ができます。
失敗②:いきなり通常速度でやって挫折
「シャドーイングは通常速度でやるもの」と思い込んで、いきなり1.0倍速で始めてしまう方がいます。
しかし、シャドーイングは日常生活ではほとんど使わない特殊なスキルです。聞くことと話すことを同時に行うマルチタスクは、想像以上に脳への負荷が高いのです。
対処法
最初は0.8倍速など、ゆっくりめのスピードから始めましょう。多くのアプリや音声プレーヤーには再生速度を調整する機能があります。
ただし、あまり遅くしすぎると英語本来のリズムが崩れてしまうので、0.8倍速程度を目安にするとよいでしょう。慣れてきたら徐々にスピードを上げていきます。
まずは慣れることが大切です。無理なく続けられるスピードから始めてください。
失敗③:音声変化を知らずにスペル通りに発音してしまう
これも非常によくある失敗です。
英語には、連結、同化、脱落、ラ行化、弱形といった音声変化のルールがあります。しかし、これらを知らないまま、スペル通りに発音してシャドーイングをしても、実際の音とは違ってしまいます。
対処法
シャドーイングを始める前に、音声変化のルールをしっかり覚えておくことが重要です。
前回の記事で詳しく解説していますので、まだ読んでいない方はぜひご覧ください。音声変化を理解することで、「読めばわかるのに、聞いたらわからない」という状態から脱却できます。
失敗④:自分の声が大きすぎて音源が聞こえない
これはシャドーイング特有の失敗です。
シャドーイングは音声を聞きながら同時に発話するため、自分の声が大きすぎると、肝心の音源が聞こえなくなってしまいます。
私自身も生徒さんに教える前にシャドーイングを実践していた時、この声の加減をつかむのに苦労しました。初心者の方であれば、なおさら難しく感じるはずです。
対処法
最初は小さめの声から始めて、徐々に自分に合った音量を見つけていきましょう。
音源がしっかり聞こえる程度の声量で、かつ口はしっかり動かす。このバランスをつかむのには少し時間がかかりますが、慣れれば自然とできるようになります。
失敗⑤:真面目すぎて挫折する/楽観的すぎて伸びない
シャドーイング学習において、バランスが非常に重要です。両極端なタイプの生徒さんは、どちらも伸び悩むことが多かったです。
真面目すぎて挫折するパターン
宿題ができないと英語が嫌になってしまう方がいます。
「最初に言われたプログラム通りにできないと、伸びないのではないか」と思い込んで、自分を追い込んでしまうのです。
しかし、生徒さんのその時の状況は変わります。仕事が忙しくなったり、体調を崩したり、様々な事情があるでしょう。
もし宿題がこなせなくなったら、遠慮せずに担当の先生に相談してください。先生は、それぞれの生徒さんに合わせてプログラムを組み直すことができます。特にマンツーマンレッスンであれば、こうした状況の変化にも柔軟に対応できるのが良いところです。
真面目になりすぎず、気楽に、何よりも続けていくことが大切です。
楽観的すぎて伸びないパターン
逆に、「レッスンを受けているのだから、伸びるだろう」と楽観的に考えすぎる方もいます。
先生はできるだけ興味を持ってもらえるレッスンを提供しますが、来るだけでは伸びません。
ちゃんと言われたことを宿題でやって、弱点を克服しようとする努力が必要です。レッスンと自主学習の両方があって、初めて効果が出るのです。
おすすめの教材:TOEICを活用しよう
シャドーイング用の教材選びで迷っている方には、TOEICの教材をおすすめします。
TOEICの教材がおすすめな理由
- 既に持っている人が多い
TOEIC対策をしている方なら、すでに教材を持っているはずです。新たに購入する必要がありません。 - ビジネスシーンで使える表現が豊富
TOEICにはビジネスの言い回しや単語が多く含まれています。シャドーイングをしながら、実務で使える英語表現も身につけられるので一石二鳥です。 - レベルが適切
TOEICの音声は、早すぎず遅すぎず、シャドーイング初心者にちょうどよいスピードです。
私自身も生徒さんにシャドーイングを指導する際、TOEICの教材をよく使っていました。
シャドーイングは一定期間の継続があって初めて効果を実感できます。
効果が出るまでの目安期間と、続けるコツについてはこちらの記事で解説しています。
まとめ
シャドーイング初心者がやりがちな失敗と対処法をまとめます:
- 理解していない教材でやる → まず内容を理解してから取り組む
- いきなり通常速度でやる → 0.8倍速から始めて徐々に上げる
- 音声変化を知らない → 事前に音声変化のルールを学ぶ
- 声が大きすぎる → 小さめの声から始めて加減をつかむ
- 真面目すぎる/楽観的すぎる → バランスを取って継続する
これらの失敗を避けることで、効率的にシャドーイング学習を進めることができます。
次回の記事では、「シャドーイングで効果が出るまでの期間と継続のコツ」について解説します。どれくらいの期間で効果が出るのか、そして挫折せずに続けるためのポイントをお伝えします。

