前回の記事で、ディクテーションがリスニング力向上に効果的だとお伝えしました。
しかし、「どのようにやればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
実は、ディクテーションのやり方は、講師の考え方によって多少異なります。スクールであれば、スクールの方針もあるでしょう。
この記事では、元英語講師として私がおすすめするディクテーションの正しいやり方を解説します。
全体把握から?それともいきなり本番?
一般的なディクテーションの方法として、「まず全体を把握する」という考え方もあります。
しかし、私のおすすめとしては、まずいきなり本番でやることです。
なぜいきなり本番なのか
理由は、現時点での自分の実力を正確に把握するためです。
全体を把握してから書き取ると、すでに内容を理解した状態になってしまい、本当に聞き取れているのか、それとも文脈から推測しているのかが分からなくなります。
ディクテーションの3つのステップ
では、具体的なやり方を説明します。
ステップ1:通常スピードで書き取る
シャドーイングと同じく、音声スピードの変更も生徒さんによってはカスタマイズしたりすることもあります。
しかし、余程通常スピードでは心が折れてしまうという状況でない限り、まずは一回通常スピードで書き取ってもらいます。
聞こえた通りに、書けるところまで書きます。
ステップ2:繰り返し聞いて空欄を埋める
そして、抜けがあれば、そこを確認するために、もう一度流します。
3回くらい流して一度正解を確認してみると、どうしても聞けない箇所が炙り出されるでしょう。
ステップ3:答え合わせと分析
スクリプト(英文)と照合します。
そして、なぜ聞き取れなかったのか、必ず分析します。
これが最も重要なステップです。
聞き取れない箇所の扱い方
わからない箇所は、間違って聞こえることもありますが、大抵は何を言っているのかわからないので書けないことも多いです。
空欄で結構
その場合は、空欄で結構です。何がわからないのか、わかればいいのです。
前回の記事で、聞き取れるけどスペルがわからなくても問題がないと言ったのは、そういう意味です。
分析で何が分かるのか
答え合わせをした後の分析で、以下のことが分かります。
①音声変化の定着がしていないのか
知っている単語なのに聞き取れなかった場合、音声変化が原因です。
連結、脱落、弱形などの音声変化を体得できていないということが分かります。
②語彙不足なのか
そもそもその単語を知らなければ、聞き取ることはできません。
書き取れなかった単語が、知らない単語だった場合は、語彙不足が原因です。
シャドーイングとディクテーションの組み合わせ
シャドーイングをやっていて、「なんだかよくできない」「なんだか理解できない」などモヤモヤしているときは、この分析方法で、いったい何が問題なのかを具体的にあぶり出すことができます。
ディクテーションで課題発見→シャドーイングで克服
- ディクテーションで聞き取れない箇所を発見
- 音声変化が原因だと分かる
- その音声変化を重点的にシャドーイング
- もう一度ディクテーション
この流れで、効率的にリスニング力を向上させることができます。
よくある間違い
ディクテーションをやる際に、よくある間違いをまとめます。
❌ 間違い①:1回聞いて諦める
あぶり出すことができるまで、答えを確認するまでに数回繰り返すことをお勧めします。
1回聞いて諦めてしまったら、課題が発見できません。
❌ 間違い②:書いて終わり
書けなかった部分を放置してはいけません。
答え合わせをして、なぜ聞き取れなかったのか分析することが重要です。
❌ 間違い③:分析しない
発見して終わりではなく、必ず書けなかった理由を分析しましょう。
- 音声変化が原因?
- 語彙不足が原因?
- 文法理解が追いついていない?(独学でレベルの合わないテキストを使用した場合)
この分析があってこそ、ディクテーションの効果が出ます。
❌ 間違い④:完璧主義
スペルが完璧に書けなくても大丈夫です。
カタカナでもOK。
重要なのは、音が聞こえているかどうかです。
ディクテーションの効果的なやり方まとめ
ステップ1:通常スピードで書き取る
- いきなり本番
- 聞こえた通りに書く
- 書けないところは空欄
ステップ2:繰り返し聞く
- 2〜3回繰り返す
- 空欄を埋める努力
- それでも書けない箇所を確認
ステップ3:答え合わせと分析
- スクリプトと照合
- なぜ聞き取れなかったか分析
- 音声変化?語彙不足?
重要なポイント:
- 1回で諦めない
- 書いて終わりにしない
- 必ず分析する
- スペルは気にしない
ディクテーションで重要なのは分析
ディクテーションは、ただ書き取るだけの作業ではありません。
なぜ聞き取れなかったのかを分析することで、自分の弱点が明確になります。
そして、その弱点を克服するために、シャドーイングや語彙学習を行う。
この流れが、リスニング力向上の最短ルートです。
まとめ
ディクテーションの正しいやり方:
基本の流れ:
- いきなり本番(通常スピード)
- 2〜3回繰り返し聞く
- 答え合わせと分析
やってはいけないこと:
- 1回聞いて諦める
- 書いて終わり
- 分析しない
- 完璧主義
分析で分かること:
- 音声変化が定着していない
- 語彙不足
- 文法理解が追いついていない(独学でレベルの合わないテキストを使用した場合)
シャドーイングとの組み合わせ:
- ディクテーションで課題発見
- シャドーイングで克服
- 相乗効果で効率的に上達
ディクテーションは地道な作業ですが、正しいやり方で取り組めば、確実にリスニング力が向上します。
次の記事では、「ディクテーションで見つかる3つの弱点」について詳しく解説します。
